花は、自然界にある姿が
いちばん素直で美しい
そのもともとの姿を生けられるよう
どこからも使ってもらっていい。
立てても横にしても
裏返しでも生けられる
多くを受け入れてこそ
本来の花器の姿であり心である
白釉重ね形花器
中村豊は、器の空洞という
見えない部分に深い思索を重ねる
彼の作る器は、四角くても三角でも
中に何かあるようにふくらんでいる
そのふくらみが優しく温かく
心地よい
中村豊は「中にあるのは心」
としかいわない
白は無一物 その裏に、その奥に色 土は黒く無彩色 還元炎の輪廻の色 白釉の隙間から還元黒の土肌 |
「越前の地に脈々と流れる越前焼の 歴史と風土があって初めて、 現代の私のやきものが生まれる。 土が私の表現を引き出し、 炎が私の力を超えたやきものを 生み出してくれるのです」 |
やきものは神に捧げる器、「陶器(すえき)」です。 本来、神に花を捧げ、供物を供えるための器でした。 より神に近い存在として、器の内にある空洞に、 人々は祈りや願いや畏れをも込めてきた・・・ |
「越前に住んでいるから自然と
紙に興味をもってね。最初は
牛乳パックや手提げの袋を焼物
で作るところから出発しました」
中村豊は陶芸家である。
がしかし、中村豊の作る
ものは陶器だけではない。
越前の伝統和紙を使い
「あかり」を作る。
土で紙製品をかたどるうち
逆に、和紙の繊維を立体の
素材にできないかと考え、
ユニークな「あかり」作品が
生み出された。
陶杉窯の広い庭で摘んだ薊(あざみ)を
数輪、「白釉円錐花器」に
右の高い「白釉細長筒花器」は
上下を逆にしても花を生けられる。
左は「足付白釉三角花器」
三角を重ねた安定感のある
「白釉三角Vの花器」に
小ぶりの紫陽花が可憐です
多面的多用途の器のかたち 生け花文化を 伝統(華道)として 受け継がれているのは 日本だけだと思います。 器は使い手の工夫と アイデアにより 初めて作品として完結し 空間を演出します。 |
いけ花文化が 伝統(華道)として 受け継がれているのは 日本だけだと思います。 |