伊藤順康の鉄釉 伊藤順康 陶歴
油滴釉(ゆてきゆう)・銀油滴釉(ぎんゆてきゆう)
この二種類の釉薬は、築窯以来研究を続けているものです。
私の工房の近くには、昔、石を切り出した跡が
あります。幸運なことに、鉄分を多く含んだその石は単独で
焼成試験をしても油滴文様がうっすらと現れるような素晴らしい
素材です。
しかしすべてが均質というわけではなく、良さそうな石を集めて
粉砕し、相性の良い長石と調合して酸化鉄や酸化コバルト等を
加えることより着色したり、結晶を促したりします。
万華釉(まんげゆう)
工房近くで採取した岩石を主成分に調合し、二酸化
マンガンを加えることにより色と結晶を表現しています。
万華釉の「万華」は万華鏡からもらったものです。
焼成方法を変えることで、全く異なる色合いが表現でき、
様々な表情を見せてくれる楽しみな釉薬です。
鉄煌釉(てつこうゆう)
鉄釉や油滴釉とは全く異なる調合の鉄釉です。
煌めくような強く美しい輝きが特徴です。
窯の扉を開けるまで予想がつかない不安定な釉薬です。
なかなか思い通りには焼き上がってくれませんが、
そこが鉄煌釉の魅力ともいえます。
銀河釉(ぎんがゆう)
鉄煌釉と同じく調合に不安定な要素をもたせています。
一見黒一色に見える陶肌ですが、じっと見ているうちに
夜空に瞬く星のように光の粒が徐々に現れてきます。
銀河のような壮大さと神秘性を表現したいと研究を続けてきたものです。
黒の色艶に変化があり、窯出しが楽しみな釉薬です。
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